想歌 4

 ごめん。
 ごめんな、唯。お前がどうしてあの時あぁも不安だったのか、今になってやっと分かるよ。
 口約束なんてやっぱり当てにならなくて、俺には当然未来を見通せる能力なんかあるはずもない。こんな事になるなんて思ってなかったんだ。
 ごめんな。謝ってももう遅くて、許してもらおう何て思っても無い。でも、どうか俺のことは忘れないで。
 出来れば他の男なんかともくっつくな。
 お前は俺が守るって、これから先ずっと守るって思ってたのに。
 ・・・・どうしてあの日、俺が事故に遭わなきゃいけなかったんだ?


 ねぇ榊。だから私、何度も聞いたんだよ?「榊は何処にも行かない?」って。
 口約束なんて当てにならないのは知ってたけど、聞かないと不安で不安で仕方なかったの。
 やっぱり、確かな答えが欲しかった。
 何処にも行かないって言ったのに。居場所はここだって言ったのに。
 ・・・・どうして私を一人にするの・・・・・?
 もう、届かないよ。
 見上げても、手を伸ばしても、願っても。
 空はあまりにも高すぎて、自分の小ささに泣けてくる。
 こんな事なら片時も離れないで、ずっと一緒に居るんだった。
 私は誰より、あなたが好きだったの。
 ねぇ榊、私怒ってなんかないよ?でも勝手に逝っちゃったあなたを許せるほど大人じゃないの。
 何度味わってもこの喪失感には慣れることが無くて、届かないこの想いの向けどころが分からない。
 好きだよ、榊。でもね、この想いが伝わってるかどうかなんてもう確かめようがないの。
 耐え切れなくなって零れ落ちる涙は、間違いなくあなたのためのもの。
 ・・・・だから。
 どうか私のことは忘れないで。ずっとずっと想ってて。
 私も絶対、忘れないから。

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