ごめん。
ごめんな、唯。お前がどうしてあの時あぁも不安だったのか、今になってやっと分かるよ。
口約束なんてやっぱり当てにならなくて、俺には当然未来を見通せる能力なんかあるはずもない。こんな事になるなんて思ってなかったんだ。
ごめんな。謝ってももう遅くて、許してもらおう何て思っても無い。でも、どうか俺のことは忘れないで。
出来れば他の男なんかともくっつくな。
お前は俺が守るって、これから先ずっと守るって思ってたのに。
・・・・どうしてあの日、俺が事故に遭わなきゃいけなかったんだ?
ねぇ榊。だから私、何度も聞いたんだよ?「榊は何処にも行かない?」って。
口約束なんて当てにならないのは知ってたけど、聞かないと不安で不安で仕方なかったの。
やっぱり、確かな答えが欲しかった。
何処にも行かないって言ったのに。居場所はここだって言ったのに。
・・・・どうして私を一人にするの・・・・・?
もう、届かないよ。
見上げても、手を伸ばしても、願っても。
空はあまりにも高すぎて、自分の小ささに泣けてくる。
こんな事なら片時も離れないで、ずっと一緒に居るんだった。
私は誰より、あなたが好きだったの。
ねぇ榊、私怒ってなんかないよ?でも勝手に逝っちゃったあなたを許せるほど大人じゃないの。
何度味わってもこの喪失感には慣れることが無くて、届かないこの想いの向けどころが分からない。
好きだよ、榊。でもね、この想いが伝わってるかどうかなんてもう確かめようがないの。
耐え切れなくなって零れ落ちる涙は、間違いなくあなたのためのもの。
・・・・だから。
どうか私のことは忘れないで。ずっとずっと想ってて。
私も絶対、忘れないから。
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